任意団体(役員)の会計を楽にする方法:使いやすい会計科目

2022-03-13

会計科目のハンコが並んだ写真。
この記事をおススメする人

・役員で会計になったけど、会計ってどんなことをするのかよくわからない人
・会計ソフトは使ってみたけど、科目の振り分けが大変であまり楽になっていないと思う人

役員(会計)を楽にするには会計ソフトの利用だけでなく、集計で「振り分けやすい」「わかりやすい」科目を使う必要があります。

そうは言っても、経理や簿記の経験が無いと「科目ってなに?」となりますよね。

この記事は役員で会計になった方への会計科目(勘定科目)の簡単な説明と、私の経験(子ども会会計)を例として、町内会や子ども会などの営利性のない任意団体で使いやすい(振り分けやすい)科目の決め方を紹介しています。

無料・低コストで使える会計ソフトの使用感も比較しています。

科目ってなに?

勘定科目(かんじょうかもく)とは、複式簿記の仕訳や財務諸表などに用いる表示金額の内容を示す名称のことである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%98%E5%AE%9A%E7%A7%91%E7%9B%AE

わかりやすく言うと、団体に関わるお金を一定の基準で分類するための名前です。

例えば、ノートや筆記用具を購入した時に、集計が品名(ノート、ボールペンなど)ごとに計算されていると細かすぎてわかりづらくなります。そのため「事務用品費」など、使途に応じた金額がわかるように一定の範囲でまとめる名前が科目です。

科目の名称に決まりは無く、各団体・各自が使いやすい名称を使います。ですが、報告が特定の形式で指定されている場合、指定されている科目を使うか、報告の際に指定されている科目に変更します。

一般的に使われている勘定科目のうち、会計ソフトに最初から登録されている科目もあります。

そんな科目ですが、経時的な変動を把握するためには「使い始めた科目はコロコロ変更しない」事が大切です。また、名称に決まりはありませんが、あまりに使途とかけ離れた名称では反対に使いづらくなるため、科目を決める際は一般的に使われる科目や、使途が分かりやすい名称にします。

決めたらどこが楽になる?

集計(会計報告)が簡単

何よりも、団体に応じた科目を決めることで会計報告書に必要な形式に整える事が簡単になります。

任意団体の会計ではどうしても、会計ソフトの初期設定や一般的な科目では当てはまらない項目も出てきますので、自分たちの使いやすい(当てはめやすい)科目を作ることで分かりやすく、簡単に集計できるようになります。

担当者で集計が変わらない

団体によっても違いますが、役員は1年や2年の期間で交代する団体が多いと思います。もちろん、会計を担当する方も変わりますが、「人が変わると、同じ使途でも会計報告書の分類が違う」事がよくあります。

例)使途:行事の案内をコンビニで100枚コピー 1,000円

Aさん(前年担当):広告宣伝費 1,000円

Bさん(今年担当):コピー代 1,000円

そして、会計報告書を作成する時に「去年の広告宣伝費って何のこと?今年は無いけど大丈夫?」となり、確認や修正で手間が増えることも…。

そこで、誰でも振り分けしやすい科目を決めて、会計の担当者が変わっても同じように集計できるようにします。

科目の決め方(考え方)

細かく分けない(特に支出)

詳細に分けると集計も柔軟に行えるメリットがありますが、その分手間がかかります。また、営利企業と違い、任意団体の会計報告で業績の推移が必要な場面はまずありません。

必要以上の細分化はやめて、団体の活動目的・実績に応じた収支がわかる会計報告書が作成できれば十分と考えています。

また、多くの場合では収入(収入源や時期)は限られ、支出の方が頻度が高いと思います。そのため、ここでは主に支出を中心に記載しています。

まずは運営費と事業費(活動費)

営利企業の場合は事業費の中に運営費も含まれます(営利事業のために運営)が、任意団体(非営利団体)では団体の運営に関わる費用(運営費)と実際の事業(行事・活動)に関わる費用は分けて考えた方が楽になります。

そのため、団体運営に関わる支出は一般的な科目(消耗品費・事務用品費など)を使って、団体運営に必要な経費が計算しやすくします。

基本的な考え方としては、運営だけに使う費用を運営費に振り分けます。ですが、事業のために購入し、余った分を運営でも使う場合があると思います。本来の計算は使った比率に応じて費用も按分(分けて計算)しますが、省力化のため事業費にすべて振り分ける方が簡単です。

事業費(活動費)は事業名を科目にする

事業名を科目にすることで、同じレシートの中で消耗品と事務用品が混ざっている場合などでもすべて「〇〇事業費」で登録できます。

また、事業で配った飲み物や食べ物が「会議費」になるか「消耗品費」や「食糧費」にするか、など悩まなくてもよくなります。

詳細な情報が必要な場合は適用やメモに、購入物品の内容を簡単に記載しておけば必要になった際の再集計が楽になります。

メリット

結構大きなメリットで、任意団体の活動ではホームセンターなどでまとめて物品を購入することも多いですし、同じ品物でも複数の解釈になる場合は多いです。当然、担当者によって振り分け(仕分)が変わる原因は複数の解釈が原因のため、単純に分けることで人による違いが少なくなります。

また、悩むことが少なくなるので、記帳も楽になります。

デメリット

事業(行事・活動)でまとめるため、詳細な情報が必要な場合は再集計が必要になります。

NPO会計基準など、信頼性を高めるための会計基準にはそぐわないため、団体の状況や目的に応じて変更してください。

とは言え、持ち回りで会計をしている団体ではNPO会計基準の導入も難しいため、まずは、安定した会計報告を続けることが信頼性を高める一番の方法と思います。

子ども会で使っている科目・会計報告書例

子ども会でちまたの会計を使っているため、実際に使っている科目と報告書のサンプルを公開しています。

科目分類は、ちまたの会計で科目をまとめる分類になります。

収入

収入にある有目的助成金は、民間からの事業助成など、特定の事業にしか使えない助成金をわけて記載するようにしています。資源回収助成金は、行政から回収量に応じて受け取ることのできる奨励金になります。

地域団体からの助成金と町内からの助成金が分かれているのは、団体内部で別に集計する必要があるためあえて別にしています。

科目分類科目
会費会費
助成金行政・地域団体からの助成金
町内からの助成金町内からの助成金
事業収入資源回収売上
資源回収助成金
参加費
その他助成金・補助金等その他助成金・補助金等
雑収入雑収入
預金利息

支出

現金過不足も運営費に含めてもいいのですが、あまり発生しないため別にしています。

見ての通り、事業費はそれぞれの事業(行事・活動)だけで集計するため、費用の詳細は備考に記入するようにしています。共済会負担金はその他費用に含めてもいいですが、上位団体への報告書が独自の科目になっていたためこちらも別の科目にしています。

科目分類科目
事業費資源回収
歓迎会
夏のお楽しみ会
クリスマス会
6年生を送る会
他団体主催事業
運営費諸会費
支払い助成金
その他費用
研修費
雑費
共済会負担金
印刷費
消耗品費
備品費
管理用科目現金過不足

会計報告書例

以上の科目を作って、ちまたの会計に入力すれば会計報告書はクリックだけで作成できます。次年度予算も、この報告書の支出に応じて計算してくれるため、予算書作成も簡単になります。

まとめ

科目や仕分など、会計や簿記を知らないと理解しづらい部分もありますが、難しいところは少ないです。

自分たちが集計・振り分けしやすいような名前をつくってまとめるだけですので、ぜひ使いやすい科目を設定して会計が楽になるようにしてください。

会計はお金が関わる事なのできっちりしないと、と思われがちです。ですが、持ち回りで役員を交代する場合、科目はこのくらい大きく設定する方が長い期間では正確な会計報告になります。

ほんとに、集計もあっという間に終わるため、後はレシートや領収書の金額を入力するだけになりますよ。

とは言え、会計の担当者が決まっている団体や、青色申告が必要な団体は有料プランで機能が豊富な会計ソフトの使用をおすすめします。

雑記会計,役員

Posted by ううら