業務マニュアルの運用改善とナレッジベース作成のため社内wikiを導入
平成30年度の法改正によって業務マニュアル(標準作業書)は作ったものの、追加・更新が適正に行われているかと聞かれると正直できていないです。
作成から3年経過してさすがに更新が必要になった事(そもそも業務に使うシステムが変わった)と、年に数回はやはりイレギュラーな事態が起きるためナレッジベースとして記録を残したいと考え社内wikiを導入しました。
今回、小さい部署での対応としてワードファイルを共有することも考えましたが、最終的に社内wikiの導入決定にあたって現状把握からシステム選定までの経緯を記載しています。デジタル化推進でAIやDXなどの大きな話はよく耳にしますが、デジタル化で最も大切な現場の利便性向上の参考になればと思います。
現状把握と状況整理(更新されない・記録が残らない理由)
1. 人数が少ない
業務マニュアルを参照するスタッフが私を含めて4人しかいないため、口頭だけで意図が通ってしまうことが一番の原因です。ただし、内容を覚えているかどうかは別の話。
2. 経験年数が長い
一番短いスタッフでも経験年数が9年とそこそこ長く一通りの事を理解しているため、業務マニュアルを使う頻度が少ないです。とは言え全く使わないことも無く、久しぶりの仕事は確認も兼ねてマニュアルを見ることもあります。
3. 原本が紙
法改正で必要になったために作ったこともありますが、業務マニュアルは「常備し」とされているため印刷物は必要です。
その際、印刷物を原本にして改定は直接書き込む方が不備が少ないと思っていました。が、結局1. マニュアル取り出す。2. 該当箇所を探す。3. 修正内容を書き込む。の手順が手間になっているためすぐに更新されず、結局滞っています。
運用改善の必要性
まず、業務マニュアルの更新自体は必要ですが、現状把握と状況整理から根本的な運用改善の必要性を考えてみます。正直、業務マニュアルが必要になる事は少ないですが、たまに(年に1、2回)便利な時がある事と、法的に必要な書類で重要性は高いため運用改善は必要と判断しました。
ですが、原本を紙にしたままでは利便性の改善は期待できないため、「常備し」の文言には原本を印刷した文書を揃えることで対応する事にしました。
最新版をその都度印刷が理想ですが該当ページのみを差し替えになると結局手間がかかるため、原本をオンラインでいつでも閲覧できる状況にした上で、少なくとも年に1回は全て印刷して差し替えで対応することとしました。
また、これまではイレギュラーな対応は全て解決した後に手順だけ変更していましたが、手順変更に至る経緯も残した方がいいと考え、ナレッジベースに記録を残した上でマニュアルからも参照できるように運用変更も追加しました。
機能要件と改善案
機能要件
- 改定履歴が残る事
- LANに繋がっている全てのPCで更新できる事
- 検索性がよいこと
- 更新作業が容易なこと
改善案と利点・欠点
共有フォルダにファイル(MS-Word)を保存して更新
利点
- 使い慣れたアプリケーションのため編集が容易
- 特別なシステムが必要ない
欠点
- ナレッジベースとしては不向き
- 複数人が同時に編集できない(頻度は低い)
一番手軽なデジタル化の方法として考えました。業務マニュアルの更新だけなら正直これでいいと思ったのですが、イレギュラー対応の記録とマニュアルへの反映が難しいため断念しました。
wikiシステム導入
利点
- 機能要件は全て満たす
欠点
- 編集が複雑(wikiの記法)
- wikiによってはシステムが複雑
今後の運用を考えた結果wikiの導入に決定しましたが、wikiの記法をスタッフ全員が覚えることは難しいためずいぶん悩みました。詳細は次項に記載していますが、最終的にビジュアルエディタが導入できたためwikiで運用できるようになりました。
wikiシステムの選定
まず、部署内の閉じたLANで使うためインターネットへの接続はできません。その時点でインストール型のwikiシステムを使うことになりました。また、運用改善の必要性はあるものの収益には影響しないため、導入・運用の費用は極力抑える事が前提です。
wikiシステムの比較、選定結果については別の投稿をご覧ください。
社内wikiの導入後
何よりも更新がその場でできるようになったため、ちょっとした事をマニュアルに反映しやすくなったのは大きなメリットです。
また、ナレッジベースに記録されている情報はまだ少ないですが、1つの事例を複数の側面から参照したい時はwikiシステムの便利さを感じています。紙の資料を保存するだけの状態ではここまで柔軟にできなかったので、業務上の情報を集めて使うにはシステム構築の大切さを実感しました。
動かしているPCもサーバー機でも何でもない安いPCですが十分実用的な速度で動いていますので、追加費用もかかりませんでした。
ビジュアルエディタの導入には少し手間がかかりましたが、それでも1週間かからず構築できたため非常に満足しています。
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