Stable Diffusionで作った画像と権利侵害のまとめと個人的な考え

著作権と書かれた看板と本が置かれている画像。
この記事の注意点

私自身は法律の専門家ではありません。あくまでも、AI技術を使う側として最低限気にした方がいいと思う情報と自分自身の考えをまとめています。詳細については法律の専門家にご相談ください。

先日からStable Diffusionをローカルにインストールして遊んでいます。

呪文(prompt)の調整をする中で画風やアーティストを指定してイメージに近い画像を作ることもありますが、実際の人物名や具体的な作品名を指定した場合の権利侵害はどうなるのか?とふと思いました。

Stable Diffusionにおける呪文についての詳細と呪文ルール、イメージに近いイラストを生成するコツなどを解説

もちろん、現時点で突然大きな問題が起きる可能性は低いと思います。

ただ、ここ最近でAIの利用も身近になったこともあり、ユーザー数の増加に伴って技術的な課題も解決されやすくなると思うため、適切なAI利用のためにも一度自分なりに整理した方が良さそうだと思いました。

この記事では特に、頻度が高くなりそうな肖像権・著作権侵害の可能性について調べた内容をまとめています。

法律としての見解

AI画像と肖像権

肖像権(簡単な説明)

人は誰でも私生活上の容姿を無断で撮影されたり、撮影された写真を勝手に公表されたりするのは不快であり、嫌悪感を覚えるものです。このような精神的な苦痛を受けないように保護を受けることのできる権利を肖像権と呼びます

https://www.jame.or.jp/shozoken/syouzoukentoha.html

AIで作った画像が実在する人物に似ている場合、その実在する人物に対して肖像権を侵害するかどうかを考えてみます。

Stable Diffusion(Openvino)で作った画像

prompt “portrait of an adult man, bust shot"

どこかで見たような感じの人が描かれました。もし、この画像に似た人から「勝手に使わないで下さい」と言われた時にどうなるのか?です。

参考記事

上記の記事では、結論に次のように書かれています。

AI自動生成肖像の利用については、AIの特殊性を考慮したうえで、① 実在の人物の容ぼうと生成された人物肖像の同一性、② 実在の人物の容ぼうと生成された人物肖像の結びつき(関連性)の程度、③ 利用行為の態様、④ 侵害者の主観的要素、⑤ 元データの撮影行為の違法性、⑥ 打消し表示の有無を総合的に考慮して判断すべきと考えます。

https://storialaw.jp/blog/8424

AI画像と著作権

著作権(簡単な説明)

自分の考えや気持ちを作品として表現したものを「著作物」、著作物を創作した人を「著作者」、著作者に対して法律によって与えられる権利のことを「著作権」と言います。著作権制度は、著作者の努力に報いることで、文化が発展することを目的としています。

http://kids.cric.or.jp/intro/01.html

著作権の場合も、基本的な考え方は肖像権と同様と思っていますが、著作権の場合は「同一性」ではなく「類似性」となっているため権利侵害になる対象が広くなると考えられます。

二次創作は著作権侵害なの?二次創作ガイドライン | 誹謗中傷弁護士相談Cafe

Stable Diffusion(Openvino)で作った画像

prompt “Watercolor, forest landscape, gentle atmosphere"

こんな感じで作られた画像が、誰かの画風に似ているとか、特定の作品に似ているとなった場合にどうなるか?です。

参考記事

こちらの記事では、次のように書かれています。

既存画像Aが存在する場合において、当該既存著作物Aが学習用データとして用いられ、その後既存画像Aと同一・類似の画像Aが自動生成された場合を考えてみましょう。著作権侵害(複製権・翻案権侵害)が成立するためには、① 当該著作物が既存著作物と同一・類似であること(類似性)及び② 依拠性が必要です。

https://storialaw.jp/blog/8820

ですが、その後の文章からは類似性・依拠性ともにはっきりとした結論は出ていないようです。

で、個人的な考え

上記の記事を読んだところ、まだ発展途上の技術でもあることからはっきりとした線引きは難しい事が改めてわかりました。

少なくとも、Stable Diffusionに限って考えると「promptで特定の画風やイラストレーターを指定せず作った画像」では、「画風が似ている画像を公開している → 権利侵害」となる可能性は低いと思われます。

十分な量のデータセットを元データとして生成された画像自動生成ソフトウェアの場合、当該画像自動生成AIソフトウェアを利用したとしても、必ずしも既存著作物と同一・類似の著作物が生成されるとは限らず、むしろ既存著作物と同一・類似の著作物は極めて「偶然」にしか生成されません。

https://storialaw.jp/blog/8820

ただ、以下のような条件はやはりグレーゾーンかな?と思います。

  • 特定の作品やアーティストのテイストを指定
  • 特定の人物を指定 など

特に、作られた画像の使用態様(アダルト・営利目的の販売など)によっては権利侵害と判断されそうな気がします。

NSFWフィルタを外して作った画像とか…。

問題点として、今のところはpromptの指定を客観的に証明する事ができないので画像データのどこかにpromptや元画像がわかるようになれば、と思います。

Stable Diffusionだけでなく、様々なAIサービスが簡単に利用できるようになってきています。

法的な判断が難しい場合は特に、使う側の技術者倫理と照らし合わせた適切な利用が普及のためにも必要だと思います。

IT-TipsAI,stablediffusion

Posted by ううら