【資格】ITエンジニアでも情報処理技術者試験は必要?
情報処理技術者試験は受けていますが、本業は非IT職(医療系の技術職)です。
医療系は各種法律の定めがあり資格によって行える医療行為の範囲が決まっていますが、ITエンジニアにはそのような定めはありません。そのため、「情報処理技術者試験は無意味」や、「実務経験がすべて」との意見を聞くことも多いです。
もちろん、分野によっては実務経験や別のスキルが必要になることはありますし、そもそも資格を持っていれば即戦力と言うわけでは無いのは全ての業種で共通です。
その上で、先日技術職のキャリアとポジションについて考えた際に、資格が必要ない分野だからこそ知識の証明として情報処理技術者試験の合格が必要だと思いました。
特に、非IT系からITエンジニアへの転向を考えている場合、下記の表が目指すポジションと必要なスキルの参考になるかと思います。
ITエンジニア(IT技術者等)のポジションと試験・スキル
このセクション以降は上記で示す狭義のエンジニアを「ITエンジニア」、ITに関わる技術職は「IT技術者」としています。
IT技術者のポジションに応じた知識レベルと、情報処理技術者試験に記載されている1.対象者像を照らし合わせて作りました。ITエンジニアはITスキル標準(ITSS)レベル4以上として、情報処理技術者試験では高度試験合格以上としています。また、ベンダー等資格は試験の種類によっても差が大きいため、大体の目安としています。
技術に関する資格は「技術士試験」もありますが、上記の「ITエンジニア」よりさらに上位(ITSSレベル5~7)の試験になると考えています。
ITエンジニアには知識を証明する必要がある
IT技術職としてでなくITエンジニアとして考えた場合、実務経験はもちろん大切ですが、それだけではITエンジニアとは言えず、特定の分野に限らず広い知識が必要になります。。
もちろん、大学・大学院でコンピューターサイエンス(Computer Sciense)等の学位を持っている場合は情報処理技術者試験を受けなくてもITエンジニアの知識レベルは満たしていますが、それ以外の場合は知識を証明できるものがありません。
ですが、特定の学位を持たずに非IT系からITエンジニアとしてのポジションを目指す場合でも、情報処理技術者試験の合格で知識を証明できるため、時間と費用を節約できると考えると利点になると思います。
また、当然ポジションに応じた教養も必要になりますが教養を資格等で証明することは難しく、対人スキルも含めて人間関係が構築される中で評価されていくことが多いです。そのため、情報処理技術者試験以外にも広く学習することは大切です。
働き方と求められるポジション
IT技術職の場合、企業内での仕事だけでなくフリーランスとして独立する方もいますし、本業とは別に副業としても技術を活かしている方も多いと思います。ここでは、目標とする働き方とポジションから、必要なスキルを考えてみます。
必要なスキル・経験はポジションに応じて変わる
副業などで必要な部分の構築や淡々とプログラムを作りたい場合
具体的な指示があり、必要なプログラムやシステムを構成する部品(画面等)を作るなど、自分の持っているスキルを使って黙々と作業をするIT技術職になりたい場合は、上記の表ではテクニシャン(技能者等)にあたります。
必要な知識は基本情報技術者試験、スキルは習得したいスキルに応じてベンダー資格の初級レベルが相当すると考えられます。
注意点としては「具体的な指示が無い依頼」の場合に対応が困る可能性があるため、技術的な相談ができる人脈を事前に作っておきましょう。
一人親方(フリーランス)の技術職やプロジェクトリーダーを目指す場合
プロダクトの方針・概要が決まってるプロジェクトに関わり、実現するための細部を具体的に落とし込んだり、実際の成果物を作成したり、最も幅広く動けて技術職の実感があるプレイングマネージャーにあたります。上記の表ではテクノロジスト(技術者2)に相当する知識とスキルに相当します。
担当するプロジェクトの管理や実際に手を動かすこともあるポジションですが、一歩間違えると器用貧乏の何でも屋になる可能性もあります。とは言え、一人親方を目指す場合は浅く広い知識を持った何でも屋で、必要な部分は外部委託で柔軟に対応できる方が業務範囲は広くなるとも言えます。
少なくとも応用情報技術者試験の知識と、ベンダー資格では中級レベルのスキルに加えて一定の実務経験が必要になると考えられます。
ITコンサルタントやプロダクトの設計・管理など上流工程に関わりたい場合
この辺りから、狭義のITエンジニアとしてユーザーへの利便性、メリットを考えたITの構築スキルが必要になります。ユーザーに関わるITエンジニアとして、少なくとも情報技術者試験 高度試験合格以上の知識を基に、ユーザーの求めるプロダクトに関する知識も必要になるため、ITの知識はもちろん、全般的な教養が必要になります。
ITエンジニアの方向性で必要なスキルは異なりますが、開発以外の実務経験も必要になり、ITSSレベル4、5が相当すると考えられます。ITエンジニアとしてのITSSはレベル7までありますが、直接ユーザーに関わる範囲ではITSSレベル5までの人材だと思います。
さらに上(ITSSレベル6、7)を目指す場合
おそらくソフトウェアだけでなく、物理も含めた工学系の知識も必要になると思うため必要な高等教育機関での研究や、大手ベンダー企業の研究開発職が相当すると思います。
正直、非IT系からの転向と言うより専門教育の学びなおしになるため、必要な方は各自でお調べください。
企業のポジション
多重下請けが話題になる事も多いIT業界ですが、本来は企業自体にも上記のポジションが当てはまると考えています。
本来、1次受けは設計・構築のためのシステムアーキテクトや事業目標の達成が可能か評価するITストラテジストなど、上流工程に関わるITエンジニアが多くないと効率的に下請けに仕事を回せません。ITプロダクトの管理・運営をITエンジニアが行うのが理想的な役割ですが、そうなっていないIT企業も多いとの事です。
上記はIT技術職個人のポジションでしたが、身につけたスキルを活かすために必要な実務経験を積むためにも、企業自体がどのポジションにあたるかはじっくりと評価する必要があると思います。
また、これは本業でシステム開発を依頼する時に感じる事ですが、依頼先のベンダーがどの範囲まで対応できるのか、非IT系の職業にはとてもわかりづらい事が多いです。特に、開発が終了してサポートになると顕著に表れます(例:○○の部分はB社が担当なので折り返し連絡します ⇒ 担当が変わってたので詳細がわかりませんが、おそらく△△だと思います)。
得意範囲やできる事、できない事が一般にも分かりやすいといいな、と常々感じています。
分野は違っても似たような事はあるようです。
結論
未経験からIT技術職を考えている方は、将来どのようなポジションを目指し、そのための必要な知識、スキルの証明として情報技術者試験はとても有効だと考えています。
やみくもにスクールに通うだけでなく、必要なスキルを必要に応じて身につける方が時間・お金ともに効率的に使えます。
また、現在IT系の仕事をしている方だけでなく企業自体も、持っている技術や知識を「非IT系企業への証明」として情報技術者試験の合格者数などで示してもらえればと思っています。
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