子ども用ネットフィルタリングの動作原理と回避方法:iフィルター for Android

2023-12-28

インターネットトラブルを回避するためにも、子どもが使うスマートフォンやアカウントは保護者が適切な対策を取ることが大切です。

とは言え、完璧な対策を取る事は難しいため、保護者と子どもでいたちごっこになる場合も多いのが現状です。

正直、子どもの方が知恵をつけるのは早いのが現実のため、保護者の立場としては実施している対策がどんな仕組みで動作しているのかを理解して、抜け道を想定した対策を行わないと簡単にすり抜けられてしまいます。

今回、子ども向けのフィルタリングの中でも、クロームブックでも使われているiフィルターの動作を確認して想定される抜け道と対策、感想を記載しています。

注1)i-フィルターにはデバイスによって複数のアプリケーションがあるため、アプリケーションによって動作原理が違う可能性はあります。今回は、家で簡単に試すことができたi-フィルター for Androidで検証しています。
注2)パケットキャプチャまではしていないので、動作原理は簡単にわかる範囲での想像です。

i-フィルター for Android

パソコンとは異なり、お子さまの利用を常に見守ることは難しいのがスマートフォンです。
保護者の方の目の届かない利用時にも、有害サイトフィルタリングブラウザー「i-フィルター for Android」がお子さまを守ります!
「i-フィルター for Android」でのインターネットのサイト閲覧なら※1、有害サイトをしっかりブロックすることができ、離れていても利用状況の確認やフィルタリング強度の変更が可能です。

https://www.daj.jp/cs/products/smartphone/ifandroid/

Androidにインストールすることでアプリフィルターや有害サイトフィルタリングを行えるアプリケーションです。

ただ、保護者の立場であっても個人的には、Google Play以外(サードパーティー制アプリ)でインストールする必要がある、パスワードが半角英数字しか使えない、その上動作が不安定、何よりも過剰な設定ができるため子どものプライバシー尊重と個人の権利をないがしろにしていると感じることもあり、セキュリティを守るアプリケーションとしては信頼していません。

別記事でまとめている、Googleファミリーリンクの方が倫理面も併せて適切な設定ができると思っています。

基本的な動作原理

アプリフィルター、有害サイトフィルタリングともにAndroidのフローティング機能を使い、i-フィルターの画面を強制的に表示することでアプリの使用や有害サイトの閲覧を防いでいるようです。

指定したAndroidアプリが動作すると、i-フィルターのフローティング画面が全面に表示されるようになっています。

  • LINE禁止 ⇒ LINEが起動するとi-フィルターのブロック画面が表示
  • 有害サイトフィルタリング ⇒ ブラウザが起動すると起動されたブラウザに代わってi-フィルターのブラウザを表示 ⇒ i-フィルターブラウザでフィルタリング実施

そのため、i-フィルター for Androidのフィルタリングはフローティングの許可に依存しているようです。

有害サイトフィルタリング

i-フィルターブラウザを使うことで有害サイトのフィルタリングができますが、あくまでもi-フィルターブラウザの使用に限定されます。

公式サイトでも、その他のブラウザはフィルタリングされないためアプリフィルターを併用してくださいと書かれています。

そして、i-フィルターブラウザのフィルタリングの動作は、どうやらブラウザが画面を表示する前にフィルタリングサーバー?との通信で有害サイトかどうかの判断をしているようです。

ネットワークのトラフィックからも、全体のパケットに対して検出されていないアプリケーションのパケットが多いため、何らかの通信が行われているようです。

また、閲覧される頻度が少ないサイトは有害サイトかどうかの判定がされずに表示され、内容を判断(上記の不明のパケットと思われます)の上で途中からブロックされることもありました。

メジャー?なアダルトサイトはプレビュー画面にもならずブロックされましたが、表示順位の低いサイトはプレビューまでは表示され、途中からブロック。再度閲覧する時はプレビュー画面からブロック、など。

i-フィルターブラウザを使うと変なHTTP通信も増えていました。

抜け道(回避方法)

i-フィルターの回避方法は複数ありますが、実際にはi-フィルター以外の設定に依存します。

ネットで検索できる回避方法

正直、デバイスの設定を変更できたり、拡張機能や追加のアプリを自由にインストールできる状況のままで制限できるわけがありません!

i-フィルター for Androidに限っての確認ですが、Google Playからアプリをインストールできる状況なら「Floating Apps(全年齢対象)」をインストールするだけで有害サイトフィルタリング、一部のアプリフィルターは回避できました。

理由は、動作原理がアプリに対してフローティング画面を重ねるだけなので、元々フローティング画面で表示されるアプリに対しては動作しないのだと思います。

同様に、ブラウザで操作できるアプリケーション(FacebookやInstagram等)もフローティング化できるので、アプリフィルターも部分的には回避できました(LINEはモバイルアプリを強制されるので回避不可)。

対策

動作原理と抜け道から何よりも設定の変更を許可しない事(もちろんデベロッパーモードの許可なんてもってのほか)、回避できるアプリケーションをインストールされないことが対策になりそうです。

とは言え、学校支給のクロームブックは特定のアプリケーションだけを使ってでもICT機器の習熟目的は果たせますが、スマートフォンの場合は、渡しておいて保護者の指定するアプリケーションしか使わせないのも考えものかな?とは思います。

それならキッズケータイの方がいいのでは?とも。

なので、アプリケーションのインストールは許可するものの通知はあり。その上で、保護者の側も抜け道になるアプリケーションを把握しておくことが大切かと思います。

子どものプライバシー、権利とともに不必要なインターネットトラブルからも守るために、保護者もICTリテラシーの向上が大切です。