データベースとして使うExcelとAccessの特徴と使い分けの目安
仕事で使うオフィスソフトの中でも、Excel(エクセル)を使っている方はとても多いです。表計算ソフトとしてはもちろんですが、直感的に使いやすく、ほとんどのバージョンでも使えるため簡単なデータベースとしても使われている場合も多いと思います。
もちろん、全てExcelで賄えるとは言いませんが、現場で使う範囲では大きな問題にならない事が多いと思います。
データベースとして使う場合は、本来はデータベースソフトのAccess(アクセス)を使う方が効率がいいと書かれている事も多いですが、実際はどうでしょう?
ここでは、ユーザー自身がデータベースとして使う場合を想定したExcelとAccessの特徴から、効率的にデータ管理を行うための使い分けの目安を記載しています。
ExcelとAccessの特徴(比較)
比較内容 | Excel | Access |
---|---|---|
導入までのコスト | 〇 | × |
ライセンス費用 | 〇 | △ |
学習コスト | △ | × |
操作性 * | × | 〇 |
複数人の使用 | × | 〇 |
入力データの正確性 | × | 〇 |
直感的な操作 | 〇 | △ |
安定性 | △ | 〇 |
パフォーマンス | △ | 〇 |
長期的なデータの安定性 | △ | 〇 |
*操作性については個人が使うだけでなく業務として使う場合を想定して、Accessはフォーム・ビューが作られている前提で評価しています。
Excelの操作性が「×」だと違和感を持つ方もいると思います。理由としては、入力そのもののハードルが低いため一見操作性が良く感じますが、「全角・半角の統一」や「既存データの修正・更新」など、データベースとして考えた場合の「入力ミスが少ない正確なデータを保存する」視点も含めて「×」としています。
Excelのメリット・デメリット
Excelでデータベースを作る一番のメリットは「導入コストの低さ」です。永続版のライセンス費用だけを見ても一番安いMicrosoft Office Presonal(\29,502)から使える上に、直感的に操作できるためデータベース自体の学習コストも少なく済みます。
そのため、自分自身で必要なデータを集めてデータベースを作成する事も気軽に取り掛かれます。
Microsoft Office Presonal 2021(¥29,502)
Microsoft Office Home & Business 2021(定価¥34,800)→(現在¥31,662)
ですが、データベースソフトとして作られているわけでは無いため、複数人の同時使用や入力されるデータに対するシステム的な確認などはできず、頻繁に更新されるデータベースには向いていません。
もちろん、利用(特に編集)は単独で、一定のルールに従って入力される保証がある場合はデメリットも少なくなりますが、長期的な利用や更新頻度が高い場合は別の方法でデータの質を確保する必要になります。
データを使うと言う点では、保存しているデータをExcelで気軽に分析できる点は大きなメリットです。
Accessのメリット・デメリット
上記の表の通り、Excelの苦手な部分に対応できる点がAccessのメリットで、最初に要点を押さえたシステムを構築できれば長期間でも安定した運用が可能になる事です。また、Access自体である程度の入力ミスを防ぐことができるため頑健性の高いデータベースを作ることができます。
ですが、導入コストは高くなります。
ライセンス費用についてはMicrosoft Access Runtimeを使えば追加費用無くAccessデータベースを使うことができますが、何よりも使いやすいデータベースの構築にはExcelよりも手間が必要です。
Microsoft Office Professional 2021(¥59,202)
また、データベース構築に必要な知識、技術の習得にかかる学習コストも大きくなるため、「誰でも手軽に」とは言えません。
とは言え、やはりデータベースとしてはExcelよりも安定性・信頼性ともに高いため、導入効果が大きい場合は積極的にAccessを取り入れて知識や技術を身に着ける方が将来的には便利になると考えています。
使い分ける目安と結論
Excel、Accessともにメリット・デメリットはありますが、使い分ける目安は以下の5点です。
- 使用人数(1人・複数人)
- 更新頻度(少ない・多い)
- データ量(少ない・多い)
- 使用期間(短い・長い)
- 正規化の必要性(第1正規系まで・第2正規系以上)
1.~4.まではわかりやすいと思います。
5.の正規化について詳しく知りたい方は、下記の参考リンクをご覧ください。
結論
目安1.~5.の選択がすべて左側の場合はExcelの方が手早く作れる上に、実用性もAccessとほぼ変わりません。
入力規制はありませんが、使用者も限られているため最低限のルールを守って入力できればあまり問題は無いと思います。
反対に、目安1.~5.の選択がすべて右側の場合はExcelだけでは難しく、Accessを使った方が結果的にトラブルも少なく効率的なデータベースになります。
難しいのは、1.~5.が部分的に混ざっている場合です。
あくまで個人的な意見ですが「2.更新頻度」が高い場合と、「1.使用人数」でデータベースの編集を複数人で行う場合はAccessを導入する方がいいと考えています。
学習コストは必要ですが、Accessを使いこなせると便利になる事は多いです。
気軽に取り掛かれる点がExcelデータベースのいいところですが、結果的に遠回りにならないためにも、上手に使い分けて効率をよくしてください。
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