Office 2013のサポート終了後にMicrosoft 365 Apps for businessへ移行する理由

2022-08-18

ほとんどの企業で業務に使われているMicrosoft Officeですが、後半年少々でOffice 2013の延長サポートが終了します。

当然、セキュリティ対策もあり更新する必要がありますが、現在ではボリュームライセンス契約(Office LTSC)よりもサブスクリプション版の導入の方がコストパフォーマンスが良くなっています。

もちろん特別な理由でOffice LTSCを選ぶ場合もありますが、ここでは特にIT担当者が少ない・居ない企業の方向けに、企業向けOffice製品の選び方と理由をご紹介します。

Officeのサポートは5年間で終了

私自身はIT担当者ではありませんが、職場は典型的な古い中小企業そのもので、まだ動くPCは古くても現役で動かしています。

現状はボリュームライセンスのMicrosoft Office Standard 2013をインストールして使っているため、サポートが終了する前にMicrosoft Officeを更新する必要がありますが、以前と異なり永続版Officeのサポートは販売後5年間になっています。

WindowsおよびMac用のOffice 2021およびOffice LTSCに関するFAQ

ボリュームライセンスの費用

ところで、Officeのボリュームライセンス(現在はOffice LTSC)ですが、数千ライセンスであればまだしも、100ライセンス程度ではあまりコストが下がりません。

特に小さな企業では通常のライセンス費用と変わらないため、1ライセンス3~4万が程必要になりますよね。

永続版ライセンスの弊害

そして、永続版ライセンスの場合は使い続けると見かけのコストパフォーマンスが良くなるため、PCが更新される事も少なく中小企業で必要な生産性の向上が妨げられているのも現実です。

中小企業・小規模事業者の生産性向上について

IT投資を積極的に行う中小企業の方が、売上高・売上高経常利益率の水準が高い。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/chusho/dai1/siryou1.pdf

サブスクリプション版Office(法人用)の費用

法人用Officeのサブスクリプションにも4種類のプランがありますが、多くの中小企業ではMicrosoft 365 Apps for businessかMicrosoft 365 Business Standardが対象になると思います。

Microsoft 365 Apps for business

永続版ライセンスと同じように、Officeアプリを使うことがメインになる場合はこのプランが一番コストがかかりません(年間契約で1ユーザー900円/月・10800円/年)。

  • デスクトップ版の Office アプリ (プレミアム機能付き)
  • 1 TB のクラウド ストレージ
  • 標準のセキュリティ
  • 電話/Web サポートをいつでも利用可能

加えて、ユーザー毎に1TBのOneDriveストレージが追加される上、同じユーザーが使う5台のデバイスにインストールできるため職場のPCで無くても同じOfficeを使うことができます。

Microsoft 365 Business Standard

Officeアプリに加えて法人メールの使用や顧客の管理、300人までのミーティングも可能なプランです。

  • 参加者最大 300 人でチャット、通話、会議
  • Web とモバイル版の Office アプリ
  • 1 TB のクラウド ストレージ
  • 法人メール
  • 標準のセキュリティ
  • 電話/Web サポートをいつでも利用可能
  • デスクトップ版の Office アプリ (プレミアム機能付き)
  • ウェビナーを簡単に開催
  • 出席者登録とレポートのツール
  • 顧客の予約を管理

その分、Microsoft 365 Apps for businessよりは費用がかかりますが、それでも年間契約で1ユーザー1,360円/月・16,320円/年と、個人向けのサブスクリプションと同等です。

こちらは個人向けサブスクリプションです。

もちろん、こちらもユーザー毎に1TBのOneDriveストレージが追加される上、同じユーザーが使う5台のデバイスにインストールできます。

永続版ライセンスとのコスト比較

以前の永続版ライセンスは2台までのPCにインストール可能でしたが、現在は1ユーザーの使う2台のPCにライセンスが変わっているため、ライセンス規約に則って計算しています。

仮に永続版ライセンスを最大5年間使うえたとしても、Home & Businessでは年間7,000円(35,000円/5年)、Accessも使えるProfessionalでは年間10,000円(50,000円/5年)が必要になります。

正直、OneDrive容量と、Officeがどこでも使えるライセンスと考えた場合にMicrosoft 365 Apps for businessとの差額は許容内だと思っています。特に、Accessが必要な場合には永続版ライセンスを選ぶ理由が特に出てきません

ボリュームライセンスを選ぶ理由

そんな中でも、インターネットに繋がらない環境ではOffice LTSCを契約する必要があります。

現在のOfficeはインストール時以外にも、ライセンス認証で定期的にインターネットに接続する必要があるため、何らかの理由でインターネットに接続できない場合はOffice LTSCを使ったオフラインインストールしか手段がありません。

Business用サブスクリプションのメリット

一番のメリットは従業員それぞれの企業アカウントと紐付けするため、個人やローカルアカウントと業務用のアカウントを分けて管理できる点です。

また、業務用のOneDriveにデータを保存できるため、ローカルストレージに保存するよりもセキュリティ面でもメリットが出てきます。さらに、セキュリティに関しては常に最新バージョンを使用するためアップデートを忘れる事が無くなるのも大きなメリットです。

5年前にパッチが公開された「Microsoft Office」の脆弱性2件、悪用止まらず

まとめ

以上のように、現在ではインターネットに接続できない環境以外では、費用面でも永続版ライセンスを使用するメリットがかなり少なくなっています。

セキュリティの向上は全ての企業で必須になっている上、職場のPCでしか業務ができない状況は多様な働き方や柔軟性に欠けるため、事業継続計画(BCP)にも影響します。

いきなり全職員で導入しなくとも、最初に数人から試してみる事ができるのもサブスクリプションのメリットです。サポートの終了をいい機会ととらえてみるのはいかがでしょうか?